2021年9月28日火曜日

【火の国会議】孤独・孤立化に対応するための勉強会 その2


勉強会の趣旨

災害後の被災地においては、被災前からの
様々な課題が浮き彫りになるが、被災を受
けたことにより、その課題に拍車がかかり
支援のあり方も従来とは異なる場面に遭遇
する。


熊本地震においては仮設住宅等の退去者等が
新たな地域でのコミュニティ形成に困難を極め、孤立感を感じているものの、コロナ禍の
影響もあり 交流会等の開催も自粛され、継続
的な福祉支援に繋げることも困難になっている状況にある。

本勉強会は被災者支援に携わった支援団体より、孤独・孤立化している被災者の事例を共有し、事例から学ぶとともに、今後の地域活動の取り組み方針の検討の一助としたい。


スピーカー団体から活動概要報告

〇一般社団法人 よか隊ネットくまもと

ホームページ:https://yokatainet.or.jp
・熊本地震、令和2年7月豪雨災害で主に交流会の活動を実施。
・熊本地震では、みなし入居者の交流会「つながる広場」、「つながるカフェ」を実施。
・令和2年7月豪雨では、八代市と人吉市でみなし入居者の交流会を開催・実施の手伝い。仮設団地でも交流の時間を作るなどしている。飲み物や食べ物を提供しつつ、交流の場をつくっている。

 

〇熊本県子ども食堂ネットワーク

ホームページ:https://syncable.biz/associate/kumamoto-ks-net/
・昨年8月に設立。2016年地震前から活動している人たちがメインになりネットワークをつくった。現在約40団体。県内の子ども食堂は100を超える。
・子ども食堂が始まった時点では、子どもの貧困がテーマとなっており、貧困している人が参加するイメージで足が向きにくかった。現在は、交流の場として、様々な人が来るようになり、中には本当に困っている人も含まれる。広く受け入れ、その中に困っている人がいるというスタンス。
・ひとり親協議会とともに、子ども見守りネットワークもはじまった。ひとり親支援も始めている。
・「地域食堂」としているところもあり、高齢者も利用。食堂により運営方法は異なる。




Q1
孤立、孤独感を感じている方は、こころとからだの健康リスクが高いという調査結果が報告されている。実際に接している立場として、どのような健康リスクがあったか。

A1
・豪雨災害の事例では、人吉の仮設団地にて、初期の段階では元気そうな被災者だったが、半年後に話をすると、時間がたって精神的に疲れてきたということだった。仕事にも戻り、家の再建にもめどが立っている方だったが、表情が暗かった。家族が体を壊してたり、先のことを考えると困惑する。同じ地域からの人が集まっている仮設ではないため、団地内の住民同士での交流がなく、夫婦のみの会話に限られている状況が背景にある。
・八代市では、坂本町から八代市街地に移られて、環境変化による影響がある方も存在する。買い物はしやすくなったが、自然が少ない、庭がないなどの暮らしの変化が背景にある。交流会には娘に送迎してもらって参加ができたが、心の不安が表情からも見受けられた。環境の変化や交流がないことが、大きな影響を与えると感じた。



Q2
令和2年7月豪雨を含め、被災した後に地域を離れ、仮住まいした先に恒久的に住むことになる人も多くなると思いが、地域に溶け込めないことも孤独化の一つの要因だと思う。地域に参加できない理由としては何があるか。

A2
・仮設住宅近隣の受け入れる側も、どう受け入れたらよいかわからないのではないか。何を提供したらよいかわからないという支援者の声もあった。互いになんとなく支援に対する壁があるのではないか。
・被災後の事例として、子ども食堂に来られていた方に対して「みなし入居者は無料です」」とかかげていたが、みなし入居者でもお金を払われていた方がいたことが後でわかった。みなし入居者とわかるのが嫌な様子や、そこまで困っているわけではないからなどと言われた。
・ひとり親の場合、自分がひとり親と知られたくないこともある。自分の地域ではなく他の地域の食堂に行かれている。理由として、ひとり親で子どもに肩身の狭い思いをさせたくない、同情されたくないという方もいる。



Q3
孤立されている方は行政の支援(例えば生活保護の制度など)についてご存じだろう。民生委員さんなどから支援をお願いされるパターンもあるか。

A3
・制度をよく知っている仲介役はとても必要と感じる。住民さんと会話をする人と制度を熟知した人がセットで動くのは有効なのではないか。



Q4
社会資源(制度等)につなぐにあたっての課題は?地域に溶け込めない理由は?

A4
・制度につなぐには、適切な形で情報を周知することが必要。世帯によって、細かくあるとよい。個人的に信頼できる人が間にはいってあげることが大事。ひとり親世帯の場合は、ひとり親支援団体が仲介するなど。
・信頼できる人がカギ。どんなに社会資源があり、それを知っていても自分からそこに向かうにはハードルが高い。信頼できる人とならいける、その人に話ができるなど。食堂にきてもらうのは、そこの人との信頼関係ができ、 支援につなぐ役割ができればよいと思うが、なかなかその余裕がない。



Q5
行政、社協など他の組織との連携は必要?、民間活動の資金面の課題は?

A5
・連携は必須と感じる。食堂ではごはんを作りながら話をするので、他の組織に入っていただくことで利用者と話をしてもらうなどしてもらえると助かる。ただし、今はコロナ禍で集まりにくい。



その他
・本当に困っている方はコミュニティ内で埋もれている。引きこもりの方と怖くて関われないという民生委員さんなどから声かけがあれば、同行することもできる。やってきた経験をもとに一緒に考えていくのがスタート地点かと思う。熊本地震でつながった仲間で 、継続的にやっていくことが大事と思う。


※詳細は「第381回 火の国会議」議事録をご参照下さい。



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火の国会議(令和2年7月豪雨)+Web
毎週火曜日 18:00~
第1週目は勉強会を実施中!

「火の国会議+Web」では、各支援団体の活動状況、各地の被災状況、日々変化する被災地ニーズ、支援物資、助成金情報等の様々な情報共有の場となっております。熊本地震から続いている火の国会議には現在も多種多様な支援団体が参加しており、連携による効果的な支援が構築されています。
 
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くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD)は、災害支援と持続可能な復旧・復興のコーディネートを担い、関係組織との情報共有、連携強化及び人材育成を図ります。

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